2012年03月30日 06:30
昨年の秋くらいにちょっと書いたままお蔵入りになっていた記事を、
今更ながら思い出してアップしております。
今日はネギ栽培での肥料のお話。
※ネギ農家さん以外はあまり興味を持てない内容かも。汗
作物を栽培する時、基本は「元肥」と「追肥」を行います。
元肥とは作物を植え付ける前に土に混ぜておく肥料の事で、
追肥とは作物の成長途中で養分を補充する為に与える肥料です。
ネギも往々にして元肥を施し、追肥を行いながら育てるやり方が多いのですが、
私は一昨年から元肥を入れずにネギを育てています。
※pH調整・リン酸の有効利用の為に苦土石灰のみ事前に施してます。
なぜならば、土に含ませた多くの肥料(元肥)は
無駄になってしまうのではないかと思うからです。
肥料は植物に吸収されなくても、雨による流亡や空気中への揮発などで徐々に消えていきます。
※土の条件(塩基置換容量(CEC))が良くても、施した肥料の
作物への有効利用率は確か50%程度って話を以前聞いた様な・・・。
だから私は、ネギを植え付けた後にネギの根本(根圏)に必要な分だけ肥料を与えてやります。

植え付け当初は苗も小さいので、ちょろっと程度にパラパラと。
追肥の際もしかり、根の周囲に必要な分だけ。

ネギは生育期間が長い(半年、作型によっては一年近く掛かります)ので、
土寄せと合わせて収穫までに何度も追肥を行います。
昨今の肥料高騰は結構ばかにならない状態ですので
少しでも資材、コストを節約したいところです。
追肥も溝施肥にすることによって施肥量を2~3割くらい減らせるはず。
※って、なんかの資料で読みました。
そして昨年、次なる挑戦として
「長期肥効タイプ(元肥え一発)」を試験的に一部エリアで導入しました。

写真は農協さんの一発肥料。
これらの一発タイプと言われるものは、
肥料を樹脂などでコーティングすることで肥料の溶けだす期間を調節し、
長期に渡って養分を供給するので追肥作業が省けて省力化できるというしろものです。
この一発肥料の場合、肥効期間は140日。

一袋当たりの単価はちょっと高くなりますが、
作業時間をコストで換算すればメリットも大きいのかなと思います。
そして、この元肥え一発タイプの肥料についても溝施肥をすることで
肥料を少なく抑えられるぜ。って試験データがございます。 こちら
おおー、これならコストも抑えられて万々歳ではないか!
と思ったのですが、この技術を実際に試された方を探してだして話を聞いた所
「大雨が降ると溝部の肥料が一気に溶出して根に障害が出た」ってお話が。
ふーむ、コーティングされた肥効調節型といえど、やはり根本に集中して
全量施肥をするとそういうリスクが起きるようです。
※特に長雨・大雨が降った年や、排水が悪くて水たまりができる圃場だと顕著に表れるそうです。
なので一般的な使用方法とされる全層施肥(一発肥料を全体の土に混ぜて使う方法)で
試験栽培を行いました。
結果としては、一発区は追肥区と比べて非常に安定した生育を見せました。
また、特徴的な結果として一発区では軟腐病の発生が極めて少なかったです。
生育差については、昨年の初夏等は降雨が少なく、
既存の追肥区では土が乾燥した表層に肥料が多く分布し
十分に根に吸収されなかったのではないかと考えます。
それに比べ、一定の深さの土中(水分も安定している)にも
肥料分が持続して補給されている一発区では十分に根っこに吸収利用されたのかなと。
また、軟腐病の発生差についてもこの肥料濃度の影響があるのではないかと。
軟ぷ病の発生原因には幾つかの要因がありますが、その一つに高温期の窒素過多があります。
暑くてネギが弱っている時期に肥料を与えるとストレスになって病気を呼ぶって事です。
その点について、一発区では追肥を行わない事から肥料濃度の波が無く(ネギにストレスを掛けない)、
高温期にも必要最低限の窒素を供給する事で病気を抑えて夏を乗り越えられたのではないかと。
※その後秋めいて気温が下がってきたら作型によっては追肥を行う事で
一発肥料の肥効切れリスクも解消できます。
それらの結果から、私はネギ栽培における一発肥料に手応えを感じました。
なので今年は試験区の範囲を広げ(30aに)、さらに一発元肥タイプの
様子を観察して行きたいと思います。
ちなみに、あるメーカーさんの話では
肥料持ちの良くない圃場(例えば砂質の畑など)では、一発肥料の肥効期間が
短くなることから、あまり評判が良くなくて普及が進んでいないようです。
一発元肥と追肥方法を比べた時の評価の優劣は、土壌によっても大きく結果が
異なる可能性があるようです。
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何卒、宜しくお願い致します。
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今日はネギ栽培での肥料のお話。
※ネギ農家さん以外はあまり興味を持てない内容かも。汗
作物を栽培する時、基本は「元肥」と「追肥」を行います。
元肥とは作物を植え付ける前に土に混ぜておく肥料の事で、
追肥とは作物の成長途中で養分を補充する為に与える肥料です。
ネギも往々にして元肥を施し、追肥を行いながら育てるやり方が多いのですが、
私は一昨年から元肥を入れずにネギを育てています。
※pH調整・リン酸の有効利用の為に苦土石灰のみ事前に施してます。
なぜならば、土に含ませた多くの肥料(元肥)は
無駄になってしまうのではないかと思うからです。
肥料は植物に吸収されなくても、雨による流亡や空気中への揮発などで徐々に消えていきます。
※土の条件(塩基置換容量(CEC))が良くても、施した肥料の
作物への有効利用率は確か50%程度って話を以前聞いた様な・・・。
だから私は、ネギを植え付けた後にネギの根本(根圏)に必要な分だけ肥料を与えてやります。

植え付け当初は苗も小さいので、ちょろっと程度にパラパラと。
追肥の際もしかり、根の周囲に必要な分だけ。

ネギは生育期間が長い(半年、作型によっては一年近く掛かります)ので、
土寄せと合わせて収穫までに何度も追肥を行います。
昨今の肥料高騰は結構ばかにならない状態ですので
少しでも資材、コストを節約したいところです。
追肥も溝施肥にすることによって施肥量を2~3割くらい減らせるはず。
※って、なんかの資料で読みました。
そして昨年、次なる挑戦として
「長期肥効タイプ(元肥え一発)」を試験的に一部エリアで導入しました。

写真は農協さんの一発肥料。
これらの一発タイプと言われるものは、
肥料を樹脂などでコーティングすることで肥料の溶けだす期間を調節し、
長期に渡って養分を供給するので追肥作業が省けて省力化できるというしろものです。
この一発肥料の場合、肥効期間は140日。

一袋当たりの単価はちょっと高くなりますが、
作業時間をコストで換算すればメリットも大きいのかなと思います。
そして、この元肥え一発タイプの肥料についても溝施肥をすることで
肥料を少なく抑えられるぜ。って試験データがございます。 こちら
おおー、これならコストも抑えられて万々歳ではないか!
と思ったのですが、この技術を実際に試された方を探してだして話を聞いた所
「大雨が降ると溝部の肥料が一気に溶出して根に障害が出た」ってお話が。
ふーむ、コーティングされた肥効調節型といえど、やはり根本に集中して
全量施肥をするとそういうリスクが起きるようです。
※特に長雨・大雨が降った年や、排水が悪くて水たまりができる圃場だと顕著に表れるそうです。
なので一般的な使用方法とされる全層施肥(一発肥料を全体の土に混ぜて使う方法)で
試験栽培を行いました。
結果としては、一発区は追肥区と比べて非常に安定した生育を見せました。
また、特徴的な結果として一発区では軟腐病の発生が極めて少なかったです。
生育差については、昨年の初夏等は降雨が少なく、
既存の追肥区では土が乾燥した表層に肥料が多く分布し
十分に根に吸収されなかったのではないかと考えます。
それに比べ、一定の深さの土中(水分も安定している)にも
肥料分が持続して補給されている一発区では十分に根っこに吸収利用されたのかなと。
また、軟腐病の発生差についてもこの肥料濃度の影響があるのではないかと。
軟ぷ病の発生原因には幾つかの要因がありますが、その一つに高温期の窒素過多があります。
暑くてネギが弱っている時期に肥料を与えるとストレスになって病気を呼ぶって事です。
その点について、一発区では追肥を行わない事から肥料濃度の波が無く(ネギにストレスを掛けない)、
高温期にも必要最低限の窒素を供給する事で病気を抑えて夏を乗り越えられたのではないかと。
※その後秋めいて気温が下がってきたら作型によっては追肥を行う事で
一発肥料の肥効切れリスクも解消できます。
それらの結果から、私はネギ栽培における一発肥料に手応えを感じました。
なので今年は試験区の範囲を広げ(30aに)、さらに一発元肥タイプの
様子を観察して行きたいと思います。
ちなみに、あるメーカーさんの話では
肥料持ちの良くない圃場(例えば砂質の畑など)では、一発肥料の肥効期間が
短くなることから、あまり評判が良くなくて普及が進んでいないようです。
一発元肥と追肥方法を比べた時の評価の優劣は、土壌によっても大きく結果が
異なる可能性があるようです。
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