先日、農地整備を担当されている県職員の方から
このあたりの農地についてお話を聞かせて頂く機会がありました。

するとなんとお隣の燕市に、全国的にみても先進的な土地改良技術を
取り入れた田んぼが存在する事をしりました。
さっそく現地視察。(少し前の写真なので稲も小さいです)

数年前に、農地の集約化と区画の大規模化を行ったこの地域では
田んぼ一枚の広さが1ha(100M×100M)もあり、とっても広いです。
そして、この地域に導入された先進的な技術とは、
「FOEAS(フォアス)」という地下水位制御システムなんです。
このFOEASとは、暗渠の出口に特殊な弁を取り付けることで
地下水位を調節する事が出来きます。更に用水路と暗渠を繋ぐことで
「地下潅水」を行う事も可能なのです。今までの暗渠とは大きく違います。
つまり、地下水位を作物や作業に合わせて調整できることで、
今までできなかった作業の幅を広げたり(乾田直播など)、田んぼで園芸作物栽培に
挑戦できたりと田んぼを汎用的な農地として使えるようになる技術なのです。
※興味のある方は「農業 地下水 FOEAS」で検索を。システムの概要がでます。
※より詳細のメリットについては、「フォアス メリット」で検索を。
PDF資料が出ます。
そして、なんといっても驚きなのが作物の収穫量の違い。
このシステムを取り入れた農地では、適切に地下水位を管理できる様になったことで
大豆の収獲量が300~400キロまで増えたんだとか。

上記の数字は坪刈りによる推定収量なので、実際に大型機械で
ガシッョガシッョ収穫すればこぼれ穂が出てもうちょっと収量は減ると思います。
ですがこの地域の水田転作における大豆の収穫量は
確か10aあたり200キロ未満だったと思うので、確実に増収効果がある訳です。
FOEASすげー。
私としては、もしこのシステムを導入した農地を使えるならば
水田と園芸の複合経営において、田んぼで稲作ったり野菜作ったりと年によって
水田と畑の長所を活かし合うような輪作体系を組みたい所です。

なぜならば一般に水田~園芸輪作では、
野菜作ってから米・・・野菜栽培で土が肥える。(キャベツとかは米の収量が上がるらしい)
米作ってから野菜・・・水田にすることで雑草の種や病原菌が死滅する。
と、言われておるからであります。
ただし、水田・園芸輪作をする為には「水持ちが良く」「水はけも良い」という
水環境に優れた水田である必要があります。(矛盾するようにも聞こえますが。汗)
なのでFOEASの様なシステムが必要になります。
いっそ、全部の農地でFOEAS導入出来れば最高なのですが、
当然大がかりな土木工事にはそれなりの予算が掛かります。
・・・10aあたり130万だったかな・・・ぐふぉっ!
大体は国(もしくは県?市町村?それとも両方?)が9割、
土地を持つ農家が1割ほど工事費を負担するらしいのですが
現在は自治体も農家も、皆お金に余裕がありません・・・汗
※お金の問題だけでなく、農地の整理・集約化にともなう
土地の移動で揉めるので話が進まないって面もあります。
そこで私は思うのですよ。
(ここからはあくまで私がふと思った個人的な意見です。
深い思慮や想いがある訳ではないので、かるく流して下さいね。)
現在日本の農政は稲作における戸別保障制度などに多くの予算を割いております。
これらの制度・もしくは日本の農政の多くは「水田」にぶら下がり、もしくは
振り回されてきたように思います。
ならばいっそのこと、「水田」という概念(地目)をなくしたらどうだと思います。
戸別保障につかってる財源で水田の農地改良をどんどん行って、
なんでも育てられる汎用的な農地、効率的な栽培が出来る集約的農地を作る。
そのかわり、水田へ給付されていた補助は返上。
田でもあり畑でもある、なんでも育てられる「汎用的な農地」で、
米だろうが野菜だろうが経営のなりたつように栽培していく。。。的な。
もちろん、それはそれで問題だらけなのは分かっております。
仮に大豆が10a400キロ採れようが、今の価格ではよっぽど良い取引先
でも見つけない限り補助なしではやってけませんしね。
ですがきっと現行の補助と引き換えに土地改良を希望する農家もいるでしょうし、
畑作農家から見たら、自分達と同じ作物を作っているのに
地目が田んぼってだけで優遇される事を理不尽に思っている人もいるはず。
・・・うん・・・まぁ、なんかまとまらなくなってきました。汗
ただ、県職員の方が言っていた、
「これからは、田んぼで米を育てることだけを考えていてはいけない。」
って話はふむふむと思いました。
とにもかくにも、FOEASには凄い可能性がある!ってはなしです。